電気工事の安全を守る端子トルク管理|配電盤の焼損・絶縁不良を防止する方法

配電盤や制御盤の端子ネジは、「締めすぎ」と「締め不足」のどちらでも事故リスクにつながります。
端子が緩んだまま使用すると接触抵抗が増え、発熱や焼損、最悪の場合は火災につながることがあります。
一方で、締めすぎると端子や電線、絶縁部の破損・クラックを招き、長期的な信頼性を低下させます。

電気工事 で端子トルク管理が重要になる理由

緩み → 発熱・焼損・相間短絡のリスク

端子ネジの締め付けが不完全な場合、接触面の抵抗が高くなり、電流が流れるたびに局所的な発熱が起こります。
このとき、過電流検出機器(サーキットブレーカなど)が動作しないケースも多く、気づかないうちに端子部が焼損することがあります。

  • 端子ネジ・モールドの変色、変形

  • 電線被覆の溶け、変色

  • 進行すると相間短絡を起こす可能性

これらはすべて、端子の「締め不足」から始まる典型的なトラブルです。

締めすぎ → 破損・絶縁不良・接触不良

「しっかり締めておけば安心」と、トルクをかけすぎるのも危険です。
端子台メーカー各社も、締め不足だけでなく、締めすぎも焼損事故の原因になり得ると注意喚起しています。

  • 圧着端子や端子台内部が変形

  • 電線がつぶれ、実際の接触面積が減少

  • クラックや絶縁破壊の要因となる

だからこそ、「感覚」ではなく規定トルク値に基づいたネジ締めが求められます。

焼損・緩みを防ぐための端子トルク管理の基本

メーカー指定の締め付けトルクを必ず確認する

  • ブレーカ・端子台・電磁開閉器などには、
    取扱説明書や技術資料に推奨トルク値が明記されています。

  • 型式・端子サイズ・電線サイズによって推奨トルクは異なります。

  • 現場でよくある「だいたいこれくらい」という経験値頼みは、
    人によるばらつき経年トラブルの原因になります。

適切な工具でトルク管理を徹底する

  • 一般のプラス/マイナスドライバーではトルク管理はできません。

  • 現場での標準化には、トルクドライバーやトルクアダプターが有効です。

  • 特に配電盤のように端子数が多い場合、電動ドライバー+トルクアダプターの組み合わせが、
    作業効率とトルク精度の両立に適しています。

圧着端子・電線サイズ・ブレーカ容量の整合を確認する

焼損事故は「締め不足」だけでなく、以下のような組み合わせ不良でも引き起こされます。

  • 圧着端子サイズと電線サイズの不一致

  • ブレーカ定格容量と電線許容電流のミスマッチ

  • 斜め締めによる偏った接触

トルク管理と合わせて、**「正しい組み合わせ」+「正しい締め付け」**を徹底することが重要です。

正しい締め付け

焼損・緩みを防ぐチェックリスト

電気工事現場・配電盤メーカーでそのまま使えるよう、
端子締め付けのチェックリストとして整理しました。

施工前のチェック

  • 使用する端子台・ブレーカの取扱説明書を確認した

  • 推奨締め付けトルク値を資料またはラベルで明示している

  • 電線サイズ・圧着端子サイズが適合していることを確認した

締め付け作業中のチェック

  • ストリップ長(被覆剥き長さ)が適正か

  • 電線を端子奥まで完全に挿入しているか

  • トルクドライバーまたはトルクアダプターを使用しているか

  • メーカー指定のトルク値で締め付けを行ったか

  • 再確認として、軽く増し締めしてもほとんど動かない状態か

試運転・定期点検時のチェック

  • 端子部の変色・変形・異臭がないか

  • 赤外線サーモグラフィなどで温度上昇がないか(可能な場合)

  • 年次点検・定期点検のタイミングで、再度トルクチェックを実施しているか

電気工事 に最適な SLOKY パワーツールトルクアダプタの活用

SLOKY パワーツールトルクアダプタは、配電盤のようにネジ本数が多い現場でのトルク管理に最適です。

パワーツールトルクアダプタの特長

  • 一般的な電動ドライバーに装着するだけで、
    トルク管理機能付きの電動ドライバーへ変身

  • トルクレンジ:おおよそ 2.0〜5.0Nm(モデルにより異なる)

  • DIN 3126 E6.3 ビット対応で、電気工事用ビットにも幅広く適合

  • SLOKY 独自のトルク構造により、
    設定トルクに達するとクリック感や空転で知らせ、オーバートルクを防止

  • ISO 6789 準拠のライフサイクル試験で5,000 回以上の締め付けでも ±10% 精度を維持

これにより、配電盤製造ラインや現場工事で:

  • 作業者による締め付けばらつきを低減

  • 焼損・緩みのリスクを抑制

  • 施工品質を「数値」で管理し、顧客へのエビデンスとして提示が可能になります。

     

電気工事

 

トルク管理で「安全・効率・品質」を同時に向上

  • 端子の「締めすぎ」と「締め不足」はどちらも事故の原因になる

  • メーカー指定トルク+トルクドライバー/トルクアダプタの使用が、
    もっとも確実なリスク低減策

  • 配電盤のようにネジが多い現場では、
    パワーツールトルクアダプタで「電動+トルク管理」を両立させることが有効

SLOKY は、CNC 加工・医療機器・マイクロ電子・電気工事など、
さまざまな分野で培ったトルク管理技術をもとに、
日本のお客様にも安全で効率的なネジ締めソリューションを提供しています。

配電盤や電気工事におけるトルク管理の標準化・カスタムトルク設定については、
ぜひ Application ページ「電気工事関係」 および お問い合わせフォーム からご相談ください。

 

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